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文字列の部屋

ほうき星

2003.9. 田野呵々士

秋の夜空 さまざまな星
赤いの青いの 大きいの小さいの
惑星は行儀良く恒星の周りを回るものだが
あらぬ方へ回るのが ほうき星

その動きを理解できるのは
この星の生い立ちを知る者と
宇宙全体を把握する者のみ

幼い頃 故郷の星雲から弾け飛び
とんでもない軌道に乗ったのが事の始まり
そんな星なので
ごくたまに 思いがけず別の星に接近する

あるとき
ほうき星にしては珍しく その惑星となり
天の川を漂うのかと思わせることがあった
二つの成長した星が接近すれば
当然 互いに引き合う力が生まれ
強烈な電磁波と眩い閃光が発生する

でも所詮その星は 進む向きが違う星
ほんの少し大気をかすめただけ

後ろ髪のような長い軌跡を次第に弱めつつ
ほうき星は飛び去って行く
自分にも抑制の効かぬ力で
見知らぬ宇宙のかなたへ

文字列の部屋  客間

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