チャパティ(ロティ)
2004.06.22
更新 2021.09.04
小麦粉のことを北インドやパキスタンでは「アーター(aata)」と言い、インドの公用語であるヒンディー語で書くと आटा、パキスタンの国語であるウルドゥー語で書くと آٹا となる(以下同様)。それに塩を混ぜて水で捏ね、丸く延ばして焼いたものを、「ロティ(roti)」「रोटी・روٹی」と総称している。
精白していない小麦粉(全粒粉)を使用したロティに限って「チャパーティー」「चपाती・چپاتی」と言われている。それを英語表記すると「chapati」となり、それが現在の日本で一般的な「チャパティ」という呼び方になっているようだ。
現地の大衆食堂で「チャパティ」と言っても通じないことがあったが、「ロティ」と言えば必ず通じた。店によって違うので、そこでどちらが運ばれてくるかはお楽しみだ。パキスタンでは白いロティが多かったのに対して、北インドでは薄茶色のロティの方がパキスタンより多かったように思う。ということは、チャパティが出てくるのはインドの方が確率が高いということになる。
ロティにしてもチャパティにしても、その作り方の基本は同じだ。
日本のインド料理店はナンを主食に出しているところが多いようだが、現地だとそれは高級品で、一般の人の日常的な主食はこれだ。
チャパティ(ロティ)の作り方
必要な道具
- こね鉢またはボール
- まな板
- 麺棒
- タワまたは中華鍋かフライパン ※1
- 菜箸
- 七輪またはガスコンロ ※2
タワ(tawa)
※1 本場では、上の画像のようなタワ(tawa)「तवा・توا」と呼ばれる専用の鉄鍋で焼くが、それが手に入らなければ、中華鍋かフライパンで代用することも出来る。このページの作り方の説明では中華鍋を例にしているが、タワを使用した画像も若干混じっている。
※2 七輪や囲炉裏、焚火などの直火を使えば、より本格的なものができる。
材料(4枚分)
- 強力か中力の小麦粉(全粒粉または精白したもの)400g
- 塩小さじ1杯
- 水適量
方法
ここでは精白した小麦粉を使い、主に中華鍋を例にして説明しています。
- 生地を作る
小麦粉をボールか捏ね鉢に山盛りにして入れ、塩を加えて真ん中をへこませ、そこに水を少しずつ加えながら指でかき回し、真ん中からほんの少しずつ円を拡大させるようにして混ぜてゆく。水気が無くなってきたら、少しずつ水を足し、耳たぶほどの硬さになるまでよく捏ねる。以下、これを生地(きじ)と呼ぶ。
- 生地を四等分して、それぞれを球形にする
- 生地を丸く延ばす
よく乾燥したまな板の上に生地を乗せ、麺棒などで丸く扁平に延ばす。厚いと火が中まで通りにくいし、薄いと取り扱いに苦労するので、2~3mm の厚さが適当だ。
まな板にくっつくようなら、打ち粉をする。
- 中華鍋を中火にかけて熱する
- 生地を焼く
鍋が充分熱くなったら、その真ん中に生地を1枚、皺にならないようにして置く。
裏から真っ白い煙が勢い良く上がったら、そこが黒く焦げているということなので、そこまで焦がさないよう火加減に注意する。
- ひっくり返す
表面の色がうっすらと濃くなってきたら、箸でつまんでひっくり返す。
最初にひっくり返したところ
- またひっくり返す
二度目にひっくり返したところ
しばらくすると、生地の中の空気が膨張してやや膨らんでくるはずだ。
膨らんできたところ
- 炭火や焚火の場合
ここからは早業だ。箸を使うと安全に手早く行なえる。
中華鍋を火から外し、火が熾っている炭の上に直接、生地をもう一度ひっくり返して置く。すると、それが見る間に紙風船のように真ん丸く膨らむので、すかさずそこでまたひっくり返し、同じようにして膨らませたら、素早く火から取り出す。
このように膨らむのが理想だ。
付着した灰をパンパンと手で叩き落として皿に盛り付ける。
- ガスコンロ使用の場合
ここからは早業だ。弱火にして中華鍋をコンロから外し、チャパティを箸でつまんで火の上に乗せる。3~4秒してから焦げる前にひっくり返し、もう片面も同じようにして焼き、またひっくり返す。少しでも膨らんだら大成功。
それを皿に盛り付ける。
- 残りの3枚も同じようにして出来上がり
本場インド式の食べ方
両手で持って適当な大きさに千切り、右手を使っておかずを包んで口へ運ぶ。左手は「不浄の手」とされているので、食べ物を口へ運ぶのは必ず右手。但し、左手しか使えない人はこの限りではない。
だいどころ 客間