大根を一度に収穫しなければならないとき、あるいは農家から大量に頂いたときに問題になるのが、その葉をどうするかだ。これが嫌いでない人は、味噌汁に入れたり漬物にしたりと、手を変え品を変えて食べるのだろうが、それでもなかなか減らないようなときは、新鮮なうちにカレーにしてしまうという手もある。
大鍋に山盛りだったとしても、これをインドカレーにすれば、水分が飛んでどんぶり一杯程度の量になる。しかも比較的硬い茎の部分も、柔らかくなってとても食べ易くなる。
インドとパキスタン両国にまたがっているパンジャブ地方の伝統的な料理に、ホウレンソウのカレーがある。インドの公用語であるヒンディー語ではこれをパラク「पालक (palak)」と言い、パキスタンの国語であるウルドゥー語では「(palak) پالک」と言う。いずれにせよ現在では両国の最も代表的な料理の一つとなっている。
これは日本のカレーの常識をくつがえす。なぜかというと、ニンジンもジャガ芋も肉も入っておらず、深緑色をした蟹味噌のようなペースト状だからだ。
ところが、いざ食べてみると、これが想像以上に美味しい。ホウレンソウと油と香辛料との絶妙なコンビネーション。これをロティ(チャパティ)(小麦粉を水で練って丸く扁平にして焼いた物)で食べるとそれが倍増される。ちなみに、このカレーにカッテージチーズが加わると、「パラク・パンニール」という、ちょっと高級なカレーになる。
この「パラク」からヒントを得て開発したのが、この大根葉のカレーだ。植物油をたっぷり使うことが特徴。
香辛料の香りが移った油は、小麦との相性がいいので、ロティやパンにくるんで食べてもいけるし、パスタやピザのソースとして用いると、一味違った味が堪能できる。
大根という素材の性質上、ご飯にも良く合う。その場合、醤油を適量たらすと、それとの相性が倍増される。