米の消費量は年々減る傾向にあると言われているが、我々日本人にとってこの食材は、今のところまだ欠くことのできない存在だろう。一般では精米された白米が主流だが、我が家では以前、しばらく玄米を食べていたことがあり、一度に5合くらい圧力鍋で炊いておいて、毎食小分けして玄米おじやにしていた。
洗ったもち米の玄米 | 炊き立ての、もち米の玄米 |
私が玄米を食べていたのは、それなりの理由があったからだ。
成分 | こめ | めし | 解説(参考資料:Wikipedia その他) | ||
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玄米 | 白米 | 玄米 | 白米 | ||
エネルギー(kcal) | 350.0 | 356.0 | 165.0 | 168.0 | 玄米にしても白米にしても湯で炊くので、当然のことながら水分が増えた分カロリーが減るわけだ。 |
水分(g) | 15.5 | 15.5 | 60.0 | 60.0 | |
蛋白質(g) | 6.8 | 6.1 | 2.8 | 2.5 | 加熱によって蛋白質が変質し、減少してしまうことがわかる。 |
脂質(g) | 2.7 | 0.9 | 1.0 | 0.3 | 糠から油が取れたり石鹸が作れるということも、これで頷ける。 |
飽和脂肪酸(g) | 0.62 | 0.29 | 0.23 | 0.10 | 主に体のエネルギー源となる物質。 |
一価不飽和脂肪酸(g) | 0.82 | 0.21 | 0.30 | 0.07 | 悪玉コレステロールを減らす作用がある物質。代表的なものにオレイン酸がある。 |
多価不飽和脂肪酸(g) | 0.89 | 0.31 | 0.33 | 0.10 | DHA(ドコサヘキサエン酸)に代表されているように、体の代謝や発育に必要とされている物質。 |
炭水化物(g) | 73.8 | 77.1 | 35.6 | 37.1 | エネルギー源となる物質。 |
食物繊維(g) | 3.0 | 0.5 | 1.4 | 0.3 | これが不足すると、大腸の機能不全につながる。 |
水溶性食物繊維(g) | 0.7 | 0.0 | 0.2 | 0.0 | 食後の血糖値の急激な上昇を防いだり、コレステロールの吸収を抑制したりする物質。 |
不溶性食物繊維(g) | 2.3 | 0.5 | 1.2 | 0.3 | 大腸の働きを促し、がんの予防効果も期待できる物質。 |
ビタミンE(mg) | 1.3 | 0.2 | 0.5 | 0.0 | この物質が持つ抗酸化作用が老化防止につながり、抗ガン作用もある。 |
ビタミンB1(mg) | 0.41 | 0.08 | 0.16 | 0.02 | 不足すると脚気や神経炎などの症状を生じる。 |
ビタミンB2(mg) | 0.04 | 0.02 | 0.02 | 0.01 | 不足すると口内炎や舌炎や皮膚炎などの症状を生じる。 |
ビタミンB6(mg) | 0.45 | 0.12 | 0.21 | 0.02 | 不足すると痙攣や貧血などの症状を生じる。 |
葉酸(μg) | 27 | 12 | 10 | 3 | ビタミンB9とも呼ばれ、不足すると赤血球障害や悪性貧血などの症状を生じる。 |
ナイアシン(mg) | 6.3 | 1.2 | 2.9 | 0.2 | ニコチン酸とかビタミンB3とも呼ばれ、糖質・脂質・タンパク質の代謝に不可欠であり、循環系、消化系、神経系の働きを促進するなどの働きもある。 |
パントテン酸(mg) | 1.36 | 0.66 | 0.65 | 0.25 | やはりビタミンB群に属しており、糖代謝や脂肪酸代謝において重要な反応に関わる物質だが、通常の食生活で欠乏することはあまりないそうだ。 |
ナトリウム(mg) | 1 | 1 | 1 | 1 | 人体にとって重要な電解質の一つ。 |
カリウム(mg) | 230 | 88 | 95 | 29 | 生物にとっての必須元素の一つで、人体にとってやはり重要な電解質の一つだそうだ。 |
カルシウム(mg) | 9 | 5 | 7 | 3 | 脳の活動を促す働きがあり、骨の主成分でもある。体をアルカリ性にする。 |
マグネシウム(mg) | 110 | 23 | 49 | 7 | 蛋白質の合成、その他エネルギー代謝に関する生体機能に必須な元素で、欠乏すると味覚障害になるということを以前聞いたことがある。 |
リン(mg) | 290 | 94 | 130 | 34 | あらゆる生物にとっての必須元素の一つなのだそうだ。 |
鉄(mg) | 2.1 | 0.8 | 0.6 | 0.1 | 赤血球の中のヘモグロビンに含まれている成分。不足すると貧血になる。 |
亜鉛(mg) | 1.8 | 1.4 | 0.8 | 0.6 | 生体では鉄の次に多い必須微量元素だそうだ。 |
銅(mg) | 0.27 | 0.22 | 0.12 | 0.10 | ヘモグロビンを合成するために不可欠なのだそうだ。 |
マンガン(mg) | 2.05 | 0.80 | 1.04 | 0.35 | 骨の形成や代謝に関係し、消化などを助ける働きもある必須元素だそうだが、通常の食生活で欠乏することはまずないそうだ。 |
何事にも、利点ばかりではなく欠点もあるものだ。
ネットで調べてみると、玄米を食べることに対する賛否は、かなりはっきりと分かれている。また、一定の評価はしながらも、全面的には信頼していないというような意見も少数ながらあるので、大別するとその三つの選択肢があるように思った。
私はどれを選んでいるのかと言うと、これまで書いてきた内容からもおわかりの通り、基本的には賛成派だ。但し、玄米でなければいけないと思っているわけではないので、一日三食玄米ということはまず有り得ない。また、玄米だけではなく何を食べるにしても、体と相談しながら食べることにしている。具体的に言うと、昼食には玄米よりも麺類を食べたくなるし、アルコール飲料を飲んでつまみを沢山食べたような後に玄米は食べたくない。
要するに、頭でっかちになって偏った食事にならないようにしているということだ。また、個人の体質によって玄米との相性が違ってくるようなので、他人の言葉を鵜呑みにせず、なるべく公平かつ冷静に情報を収集して、自分の玄米との接し方を選択するのが良いと思う。
近頃の電気炊飯器には、大抵玄米を炊くためのモードが備わっているようだ。それだと機械がやってくれるので、焚き方をわざわざ説明する必要はないが、我が家では圧力鍋で炊いているので、その方法を一応ご紹介しておく。
白米と同じようにして器に盛り付ける。
前述したように、玄米は白米と違ってよく噛んで食べなければならない。その結果、唾液の酵素や若返りホルモンなどが分泌され、その力がフルに発揮されるようになるのだ。よく噛まなければ、栄養素が充分に消化吸収されないばかりか、消化不良で腹を壊してしまい、何のために玄米を食べているのかわからなくなる。
100回噛むという人もいるようだが、私の場合、数を数えながら食べるのは面倒なので、玄米から甘味が出尽くして口の中に違和感が無くなったら飲み込むようにしている。その回数は30回から50回程度だろうか。それで消化不良になったことは、今のところまだ無い。
白米よりも栄養価が高いので、食べる量はその7~8割程度に留めておくのが無難だろう。
まあ玄米に限らずどんな食材でも、自分に合った食べ方を日々見付けていけば、その人にとって最も良い食事になるのだと思う。