胡瓜を塩水に漬けて食べる方法がある。私の住む地域独特のものかも知れないが、道作り(または道普請)の休憩のときに、世話役の家の奥さんが、胡瓜をガラスの瓶に漬けて持ってきてくれたのをご馳走になって初めて知った。
その味が忘れられず、最初は模倣していたが、すぐ自分流にアレンジしたくなった。まず最初に加えたのが唐辛子。次に昆布、大蒜生姜、だし汁、しょっつる。野菜は胡瓜ではなくてもいろいろ応用がきく。
水は替える必要はない。漬けた物を全部別の容器に取り出しては新しい野菜を入れ、必要に応じて調味料を足していきさえすればいい。夏は冷蔵庫で、冬は食器棚の片隅でも半永久的にもつ。但し何日も放っておくと、雑菌が繁殖することがあるので、1日1回箸などでかき混ぜてやった方が良い。糠漬けなどと全く同じで、可愛がってあげると美味しい漬物になる。
漬物は醗酵食品であり、醗酵とはご存じの通り、微生物のなせる業である。そして、私たち人類は微生物無くしては生きていくことが出来ない。私たち人間のお腹の中には、消化を助けてくれている、腸内細菌という微生物が宿っているからだ。
人間は、常にこのような小さな生き物たちに支えられて生きている。これを、普段は忘れていても、心のどこかで意識しているか否かで、考え方、生き方が大きく変わってくる。たとえば、あまり深く考えずに田畑に農薬を撒けば、作物にとって必要なものと必要でないものの命を一緒くたに奪ってしまう。
その小さないのちの存在を時々思い出させてくれるのが、これらの発酵食品だ。
次に、我が家の小瓶の漬物のほんの一例をご紹介しよう。ここでは白菜を使ってキムチ風にしてみた。ハーブ、スパイスなどを加えて洋風にしてみるのもおもしろいかもしれない。
上の画像は、春先に白菜の菜の花を白胡麻と共に漬けたもの。
瓶があまりにも小さいと、味見しているうちに全部無くなってしまいます。
瓶を複数にすると、いろいろな漬物が楽しめます。