我が家の地域の漁業は盛んで、町のスーパーの鮮魚コーナーには一年中、旬の海の幸が所狭しと並んでいる。しかもそれが新鮮で安い!
9月になると、全長20~30cm くらいの油の乗ったサバ(鯖)が信じられないような価格で登場し、それは冬を経て翌年の春まで続く。1パックで3~7尾入っており、その総重量は0.6~1.2kg 。それが50~150円で売られているのである!!! 極貧の私は、いつもそれを利用させてもらっている。逆に言えば、魚はそれか小型のアジくらいしか買えないのである。トホホ……
さて、「サバの生き腐れ」という言葉があるように鮮度が落ちるのが早いし、アニサキスという寄生虫が内臓にいることがあって、それが鮮度の劣化と共に身にも進入して来る。そのため、買って来たら新鮮なうちに、さっさと調理してしまうことにしている。
しかし、一人暮らしの我が家では、こんなに大量の魚を一度に刺身では食べられないので、比較的大きめの物なら酢漬にしている。酢はカルシウムを柔らかくする働きがあり、小骨まで食べられるので、それを除去する手間が掛からず捨てる無駄もない。それは酒の肴やご飯のおかずとして、冷蔵庫の中で1週間くらいもつ。その一方、小さめの物は今まで煮物にしていた。
近頃そのようなサバを買ってから、賞味期限切れ間近の無糖のプレーンヨーグルトが安く売られているのを目にした。
無糖のプレーンヨーグルトは、日本人の感覚からすると、冷やして砂糖を掛けて食べるものだが、インドでは伝統的に鶏料理の調味料として加熱して使われている。日本風の言い方をすれば、チキンカレーのルーにヨーグルトを使うのだ。もちろん砂糖など入れない。ちなみに鶏肉を使った料理は、インドでは高級料理に属しているが、それを安価なサバですると、どうなるのかはわからない。試しにやってみたところ、なかなかの出来だったので公開することにした。
私は以前インドを長期間旅行していたことがあるが、ニンジンを使った料理には一度もお目に掛からなかった。しかしここでは、栄養面を考慮してニンジンを使用しているので、堂々と「インドカレー」とはせず、「インド風」にしている。
それでは早速ご紹介しよう。インド高級料理の雰囲気をお試しあれ。
サバを入れてからは、その身が崩れないように注意すること。
とろみのない、サラッとしたスープ状のカレーに仕上がる。
日本の煮魚と同じで骨を残しても構わないが、ヨーグルトの酸と熱により、ある程度柔らかくなっているので、私は背骨まで丸ごと食べている。
日本では、煮魚の汁を残すことは珍しくない。それは、その主体があくまでも魚本体であり、汁はその副産物だからだ。ところがこの料理だと、魚とその煮汁がセットになっているので、スプーンですくうかパンなどで拭くかして、汁も残さず食べたいものだ。
ココナッツオイルは、ご飯との相性が良いが、ロティやパンで食べてもいけるし、パスタのソースとしても使える。