灰汁(あく)とは、植物などの食材に含まれている苦味、渋味、エグ味のことで、それを抜いて不快感なく食べられるようにすることを灰汁抜きと言う。
タケノコの灰汁の主成分はホモゲンチジン酸とシュウ酸だと言われている。
採りたてのモウソウチクやキッコウチク、ハチクやホテイチクのタケノコなら、灰汁抜きせずに調理して食べられるし、水煮にして保存することもきる。
しかし、親竹から切り離されて空気に触れたタケノコは、時間の経過と共に灰汁が増えてくる。マダケのタケノコには元からそれが多いので、たとえ採れたてであっても灰汁抜きをした方が良い。
以下の表は、収穫に適したものを灰汁抜きせずただ水で茹でて水から出し、空気に触れさせておいた場合。収穫に適した長さを超えたものはどれも、たとえ収穫直後であっても苦い。
種類(収穫に適した 地表からの長さの限界cm) | 収穫後1時間以内 | 6時間後 | 12時間後 | 24時間後 |
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モウソウチク(30) | ほとんど無し | やや苦い | かなり苦い | 猛烈に苦い |
ハチク(60) | 無し | ほとんど無し | やや苦い | かなり苦い |
ホテイチク(40) | 無し | ほとんど無し | かなり苦い | 猛烈に苦い |
マダケ(40) | 苦い | かなり苦い | 猛烈に苦い | 猛烈に苦い |
やや苦いは、食べながら『まあいいか……』と耐えられるが、苦い以降は必ず灰汁抜きをしてから調理しないと、その料理を失敗させることになる。
たとえ灰汁抜きをしたものであっても、それを空気中にさらしておけば時間の経過と共に、また徐々に苦味が出て来るので、すぐ水に浸けるなどして空気との接触を避けなければならない。
米糠や米のとぎ汁を用いるのは、それが苦味成分のシュウ酸と結び付くからだと言われているが、詳しいメカニズムはわかっていない。しかし、ただ茹でただけのものよりも、灰汁が良く抜けることは確かだと感じる。
一般的には、皮ごと、しかも丸ごと茹でるようだが、それだとそれだけ多くの時間が掛かり、その分多くの燃料を要することになる。それを節約するために、我が家では皮を剥いて縦半分に切った状態でしている。これだと、沸騰してから10分火を通すだけで済む。
皮には、タケノコを柔らかくする成分があると言われているが、皮無しで茹でても硬いと感じたことはない。
タッパなどの容器に入れ、タケノコがなるべく空気に触れないようにして真水に浸け、蓋をして冷蔵庫で保存する。
水道水に含まれている塩素には殺菌効果があるので、2~3日おきに水を替えれば10日くらいはもつ。