山間地にあるこの家を借りた当初は、ガスはもちろん電気も来ていなかった。
外に蛇口の立ち上げが一つあっただけで、水道はそこまで。家の中には引かれていなかった。
便所は別棟になっていたが、それは完全に倒壊して朽ち果てており、母屋(おもや)の中には、地下浸透の男性用小便器が一つあっただけ。
このような設備の工事全てを業者に発注すれば莫大な費用が掛かる。そのために借金をすれば利子も付くし、年収50万円以下の私にとって、その返済は不可能なことだ。
そんなわけで、私が業者に頼んだのは、電気と電話を屋内に引き込むことだけ。あとは、屋内に新設するための便所掘りから始まって、雨漏りしている屋根の修理、上水と下水の配管に至るまでの工事を全部自分でするしかなかった。
薪や炭での調理 | 薪用の風呂釜 | 薪ストーブ |
始めはプロパンガスも使っていたが、やはり経済的な理由から、調理、風呂、ストーブの燃料は、周辺の山から得た木や竹に頼らざるを得なくなった。しかし、2013年11月より石油ストーブに切り替える。
冬場はストーブの上に鍋を乗せて煮炊きしている。
それ以外の季節は小枝や竹を燃やして調理し、その副産物の熾きを蓄えておいて七輪でも調理する。
但し、ピザやグラタンを焼くのは、季節に関係なくいつも電気式のオーブントースターだ。
我が家の燃料となっている周辺の植物は、そこを流れる水によって成長し、そこに生きる虫によって受粉し、鳥によって種子が運ばれ子孫を残している。もし私がその環境を滅ぼしてしまうようなことをすれば、私は自分の首を自分で絞めることになる。だから、この家での暮らしは、自ずと周辺の生き物のことを考えたものになる。
特に生活排水には気を使っている。排水口の先には、様々な生き物を育んでいる渓流があるからだ。
例えば、台所での通常の洗い物では洗剤は使っておらず、必要に応じてお湯や木灰を使い、塩分や有機物を極力流さないようにしている。風呂では普通の石鹸と、無着色無香料のシャンプーを使っているし、洗濯では極力純植物性の粉石鹸を使うようにしている。
私は、自分の庭や畑の山野菜や野菜を収穫したり、自分で魚介類を捕ったりして食べるのが最も好きだ。
畑で採れたワラビとイタリアンパセリ | 素潜りで突いたヒラメ |
また、近所の農家が作ったお米や野菜、近海で捕られた魚介類を買って食べるのも好きだ。
玄米ご飯 | 町のスーパーで買って来た近海産のサバ |
だから、遠くで作られた物を食べたり飲んだりすることは、私からすると特別なことになる。
でも、たまには食べたくなるので、外国産の安い牛肉を買うこともある。また、自分の庭の果物を使い、自分でアルコール飲料を作って飲みたいのだが、この国の法律では、それが許されていないから、贅沢とは思いつつ市販のアルコール飲料を買って飲んでいる。
実例と統計情報 | 暮らしの実例 生活費 |
必須アイテム | 豆炭炬燵(まめたんこたつ) 薪ストーブ |
欠かせない作業 | 雪掻き 便所の汲み取り 薪作り 木の伐採 |
季節の暮らし | 冬 |
災害? | 停電 害獣 水道管凍結 |