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しぜん

マムシ

2008.09.17
更新 2010.09.23

我が家のマムシ

 爬虫類・有鱗目・クサリヘビ科・マムシ属のヘビ。属ではなく、マムシ亜科としている資料もある。日本に生息しているものは、正確にはニホンマムシと言うそうだ。
 強い毒を持っているが、性格は臆病なので、めったに人前に姿を見せることはない。但し、「秋口になると、産卵が近付いたメスは気が立っているので人を咬むから気を付けろ」と、私は子供の頃から聞いている。
 我が家周辺でこれを目にすることは稀だが、なんと正にその秋口に、台所の土間に仕掛けておいた粘着式のネズミ捕りに掛かっていた。家の中に入ってきたのだ。

ネズミ捕りに掛かったマムシ

 全長約50cm。ずんぐりした体に独特の文様、スペード型の頭の形をしているので、日本に生息している他のヘビとの見分けが容易に付く。

マムシの顔 マムシの頭

 以前、同じようにしてジムグリが掛かっていたことがあったが、そのヘビは体が細かったので、10分間ほど身をくねらせているうちに、なんと自力で脱出することに成功した。今まで我が家の粘着式のネズミ捕りから生還したのは、そのヘビと、私の元妻と、飼っていた仔猫の三者だけだ。ちなみに元妻は、ネズミ捕りにくっ付いた靴下を脱ぐだけで、すぐに脱出することが出来た。その一方仔猫の方は、私がネズミ捕りを引っ張って剥がしてやったのだが、それから2ヶ月くらいは、ミノムシのように落ち葉や土などを体中に付着させて大変だった。
 このマムシは、そのジムグリのようにして脱出するのだろうと思っていたのだが、マムシの体の横幅は広く、それがしっかりと粘着剤にくっついていた。しかもこのネズミ捕りは、昨日仕掛けたばかりの真新しいもので粘着性が極めて強かったため、自力での脱出は不可能のように思われた。このまま放置しておけば確実に餓死する。9月中旬の気温だと、ネズミでは約24時間、ヘビでは1~2週間の命だ。だが、私が手を貸して自然界に逃がしてやれば生きられる。ヘビは脱皮するので、体に付いた粘着剤は、皮を脱げばそれと共にきれいに取れるからだ。
 私は、基本的にヘビが嫌いではない。但し、マムシの場合は毒があって危険だ。Wikipediaで調べてみると、日本で噛まれる人は年間約3,000人で、そのうちの10人ほどが亡くなられているそうだ。しかし我が家に於いては、私と食べ物の競合をしているネズミを捕獲してくれるという貴重な存在なので、私はこれが自分の敷地内に留まってくれることを願って逃がしてやることにした。それによって自分が咬まれても悔いは無い。というか、うっかり踏みつけたりしない限り、私は咬まれないだろうと思っている。
 お陰で、通常では得ることが不可能な以下のような画像を撮影することができた。ちなみに、いずれの画像も私が虐待しているのではなく、粘着財から逃れようとしてヘビが自らもがいているということを、あらかじめお断りしておく。

マムシ小図解

マムシ小図解1
これは、顎が壊れているのではない。ヘビは獲物を丸呑みにするため、下顎が簡単に外れる構造になっているのだ。

気管。このようにして、既に口の中で喉と分離しているので、獲物を丸呑みにして喉が塞がれても窒息することがない。
喉・食道
以下、同じものが顔の左側にも付いている。
目。猫と同じで、明るいところでは瞳孔がこのように細くなっている。
ピット。マムシなどの一部の蛇に特有の器官。これで赤外線を感じることができるので、暗闇の中でも獲物を捕らえることができるのだ。
鼻孔

マムシ小図解2

 この画像の二つの矢印は、左右の毒牙の先端を示している。
 普段はこのように寝ているが、ヘビが何かに噛み付くとこれが立って、獲物などの皮膚に深く刺さるようになっている。あー恐ろしいー!!!
 ちなみに、逃がそうとして粘着剤からはずしてやっているとき、このヘビは間違って自分の体に噛み付いた。見る見る真っ赤な血が出て来たが、ヘビは顔色一つ変えず、間もなく藪の奥へと姿を消して行った。どうやら、自分の毒に対する抗体を先天的に持っているようだ。
マムシ小図解3
 自分で顎をほぼ完全に外したところ。これだとSサイズの鶏卵大の獲物なら、なんとか丸呑みにすることができるだろう。

 この後、火バサミを使ってここから取ってやったが、強く挟むと内臓が損傷を受けるのでかなり注意深く行ったため、仔猫のときよりもずっと時間が掛かった。その後、庭に放してやった。
 それから2日後、私は庭でこれと同じくらいの大きさのマムシを見た。その体に粘着剤は付いていなかった。それが脱皮した後のこのマムシなのかどうかはわからなかったが、少なくとも我が家の庭には、それが棲息していることだけは確かだ。

近所のマムシ

 こちらは近所の路上で死んでいたもの。腹の太さからして、中に子が入っているようだ。マムシは卵胎生といって、卵を腹の中で孵化させ、子蛇を出産する。
 2010年9月20日撮影。

近所のマムシ1

近所のマムシ2

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