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しぜん

アリジゴク

2004.7.14.
2009.11.19. 更新
アリジゴク1 アリジゴク3

 我が家の台所には土間があり、それは風呂場へとつながっている。土間といっても、厳密にはコンクリ間だ。しかし、風呂の焚き口付近は、コンクリの無い、文字通りの土間になっている。
 この薄暗い場所の土にも生命がある。外から入ってきた草の根が芽を出すこともあるし、虫が巣を作ることもある。その中で目立つのが、アリジゴクだ。

 アリジゴクというのは、脈翅目・ウスバカゲロウ科の、ウスバカゲロウの幼虫が作るすり鉢状の巣のことである。この中にアリなどの小さな虫が落ちると、巣の中央の土中に隠れている幼虫が土を跳ね上げる。すると、虫はそれに足を取られて、巣の斜面から中央に転げ落ちる。そこで待ち構えていた幼虫は、大きな顎で虫を挟み、その体液を吸う。食べ終わると幼虫は、その顎でその虫を土もろとも巣の外へ跳ね飛ばす。という仕組みになっている。

アリジゴク2  どうでもいいことかもしれないが、私は考えてしまう。この土間に入ってくる虫は、1日に何匹だろう。たとえ虫が入ってきても、それがこの小さな巣の上を通りかかる確率はどれだけなのだろう。また、ウスバカゲロウの幼虫がその捕獲に毎回成功するとは限らないだろう。
 だから、アリジゴクは成長がとてもゆっくりしているようだ。土中で蛹になるようで、毎年夏になると、必ず外へ出たがっているウスバカゲロウの成虫を窓辺で見かける。

 家の外から入ってきて、また外へ出ようとする虫は多い。しかし、我が家で生まれ育って、外へ飛び立っていく虫はあまりいない。外へ出ようとしているこの虫を見かけると、私は思わず窓を開けて逃がしてやる。

しぜん  客間

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