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しぜん

毒蛾の幼虫

2004.7.5.
毒蛾の幼虫

 画像は、池に生えている菖蒲の葉を食べているところ。太い方が頭である。
 毎年春になると、イチゴには必ず付いている。何年かおきの大発生の時などには、小松菜、春菊、グミの葉も食べる。
 殆どの蝶や蛾の幼虫は、専門用語で「食性」と言って、特定の種の植物しか食べないのに、異なる種はもちろん、科が異なる植物までも食べてしまうという、恐るべき虫だ。但し、それらが皆成虫になったのかどうかは定かではないが。
 この黒い背中の複数の突起に、こげ茶色の毒の粉を付けている。これが肌に触れると、激しい痒みを伴う湿疹が出来る。私の場合、それが引き金になってトビヒになり、全身に広がって、1ヶ月以上も苦しんだことがある。全くとんでもない虫だ。そのため私は、この虫が孵化したてのときに集団でいるのを見付けると、火を放って、イチゴの葉もろとも焼き払う。そして、辛うじてその火攻めから逃れて大きくなった幼虫を発見すると、「お前が食ったイチゴの肥料となれ。」と念じて、竹の箸で摘み、イチゴの株の根元で潰して、土中深く刺し込む。
 ところが、イチゴの実が狸に喰われるのを防いでいるのが、この虫だということに気が付いてからは、多少は大目に見るようになった。
 イチゴの果実が、夜に狸に喰われるのを防げないものかと考えていたところ、イチゴの葉の裏に付いているこの虫が目に止まった。そこで1つの案が閃いた。
 葉の裏側にいるこの虫に気づかずに、イチゴを摘もうとして私は手をやられる。それと同じように、夜の闇の中で匂いを頼りに熟れたイチゴを探す狸は、神経の集中した鼻先がやられるのではないか。そうすればそれに懲りて、狸はイチゴに近付かなくなるかもしれない。
 果たして私の予想通り、イチゴは喰われなくなった。動物は、一旦味を覚えると、必ずその餌を求めて再び同じ場所に食べに来るものだが、狸の気配はあっても、イチゴが取られなくなったのだ。これは、この毒蛾の幼虫を避けているという他に理由が見当たらない。
 そのため、我が家のイチゴ畑の毒蛾は全滅を免れている。あとは、私が果実を収穫する際に注意すればいいだけのことだ。

しぜん  客間

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