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神棚の部屋

古代の銅貨

2009.07.30
更新 2009.07.31

大きさ

直径約23mm 厚さ約2.5mm

画像

表
表。人物の頭のような物が描かれている。

裏
裏。戦車を操る人、もしくはライオンを射ようとしている人に見える。

入手時期と場所

 1973年夏、当時在住していたレバノン国の首都ベイルート市内の未発掘の遺跡にて。


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大体の位置

レバノンという国

 紀元前15世紀から紀元前8世紀頃までは、複数の都市国家が連帯したフェニキアという独立国家であった。エジプトとメソポタミア・ペルシャなどとの間に位置し、地中海にも面しているため、商業で大いに発展し、そこで使用されていたフェニキア文字は、現在のアルファベットの基礎となった。その後次々と、アッシリア、ササン朝ペルシャ、ギリシャ、ローマ、東ローマ帝国といった大国の領土となっていく。
 日本の建材は主に木だが、この地域のものは主に石だ。そのため、地中に埋もれても腐食することがないので、首都を含めた古くからある都市では、街中が遺跡というか、遺跡の中に街があると言っても過言ではないほどになっている。

入手のいきさつ

 1973年、当時遺跡オタクだった小学校6年生の私は、観光地の遺跡巡りでは物足りなくなっていた。その年の夏休みに、たまたま偶然、近所の空き地の崖で、石垣と土器の破片を発見した。その後、そこからは古代のガラスの破片(ローマングラス)なども発見され、日本人学校の友人や後輩、果ては担任の先生まで引きずり込んでの「発掘ごっこ」となった。
 この銅貨は、後輩のO君が見付けたのだが、私が古銭の収集をしていることを知っていた彼は、奇特にも私に進呈してくれたのである。

作られた時期と場所

 考古学に関して私は素人だが、古銭に関しては多少知識があるので、それに基づいた推測をしてみよう。
 石垣や土器などとは違って貨幣の場合、必ずしも出土した場所で製造された物とは限らない。交易によって遠くへ運ばれる可能性も高いからだ。それなら世界的な視野でもって検証しなければならない。
 まず、この図案からすると、中国やインドではなく、ペルシャ以西のものであることがわかる。その地域で現存している最古の金属貨幣は、紀元前7世紀に現在のトルコ西部にあったリディア王国のものだ。
 紀元前4世紀以降のギリシャ・ローマの貨幣には、文字が刻まれていることが多いが、この銅貨にそれは見られない。また、鋳造技術の低さからすると、それ以前にそれ以外の地域で発行されたのではないかということが推測される。
 ということは、紀元前7世紀から紀元前4世紀までの間に、西アジアか北アフリカ(カルタゴまたはエジプト)のどこかで作られたということになる。

怪奇現象

 この遺跡での出土品は、自宅のベランダと自分の部屋に置いていたのだが、その中には動物のものか人間のものか判別できない骨もあった。その頃から、部屋の壁や天井が勝手に音を出したり、就寝中に強度の金縛りに遭い、怖い思いをするようになった。それは私の精神にまで影響を与えるようになり、帰国してからもずっと続いて、人間不信、登校拒否へと発展していった。
 しかし、この時それが無かったら、「自分とは何か」ということを真剣に考える時間など無く、不良少年の延長線の人生を送っていたと思うので、今ではこれで良かったのだと思っている。
 というわけで、現在は神棚にお祭りしているのだ。

教訓

 このような「発掘ごっこ」は墓泥棒と紙一重なので、私のように呪われることを覚悟しておかなければならない。

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