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改修工事

五右衛門風呂の復活

2002.10.12
更新 2015.09.21

 現在の我が家の風呂は、このページの画像で紹介している、風呂釜の横に燃焼室あって2本のパイプでつながっている循環式の薪風呂だ。この家に入居したとき、風呂が壊れていて修復不能だったので、これはわざわざ町で購入したのだ。
 しかしこれより前の住宅では、いずれもその家に備わっていた、いわゆる「五右衛門風呂」を使用していた。風呂釜と燃焼室が一体化しており、風呂釜の下から薪で火を炊く仕組みだ。

世界的文化遺産の復活

 世界各地で文化遺産の登録が相次ぐ昨今、我らの先人たちが残した五右衛門風呂が、ガス風呂等の普及により衰退の一途を辿っていることは誠に嘆かわしい限りである。我々の祖先が築いてきた、森林との共生という世界に誇れる無形文化遺産の一端を担っていいるのが、この五右衛門風呂だからだ。しかも、将来もし化石燃料が枯渇するという事態に遭遇しても、風呂に入るのには不自由しないという、未来志向型の風呂釜でもある。
 その補修の極意を得んとする者には、僅かな水漏れから損傷した箇所を発見する観察力と根気が必要である。そして風呂釜を新規に購入しないことは、経済不況に加担することだとの風呂釜豪商からの圧力並びに、「稼ぎが少ないため風呂釜を新しくできないのでは?」との家族を含む周囲の者からの心なき誤解による孤立を覚悟し、それに耐え得る強靱な精神力が要求される。
 しかし、もし風呂釜の補修が成功したなら、昨日までとは打って変わった妻子からの尊敬の眼差しと初風呂の時の愛らしい歓声が待っている。諸氏の成功を祈る。

五右衛門風呂の種類

  1. 浴槽が、薪でご飯を炊く「お釜」を巨大化した形状のタイプ。全て鉄でできている。
  2. 浴槽がタイルまたはホーローの部分と、鉄製の風呂釜の部分からできている。

 1. の補修は、水漏れの箇所を発見し、溶接によって行なう。  2. の補修を以下に述べる。

補修に必要な物

補修の極意

五右衛門風呂之図
  1. 浴槽から水を完全に抜き、燃焼室から灰を除去して内部を乾燥させる。その際火は用いてはならない。空焚きとなり水漏れをかえって悪化させるためだ。
  2. 図のイの印まで水を溜め、一晩置いて燃焼室内部の様子を懐中電灯などで照らして見る。もし水が漏れていれば排水関係が損傷しているか鉄の釜自体に穴が開いているかのどちらかである。水漏れの箇所を発見し、排水栓の修理あるいは風呂釜の溶接等の処置を行なう。再び「1.」に戻り同じ事を繰り返し、水が漏れなくなったら次に進む。
  3. このタイプの五右衛門風呂の構造上、殆どの漏れがこの継ぎ目の損傷によるものだ。図のロの印まで水を溜め、燃焼室内部の様子を見る。もし水が漏れて来たなら鉄の釜とタイルの継目に穴が開いているのである。その際燃焼室の奥から水が流れてきても必ずしも奥に穴が開いているとは限らない。浴槽の傾きなどで水の流れが変わるためである。風呂釜補修剤は釜の継ぎ目周囲にむら無く塗るべし。再び「1.」に戻り、水が漏れなくなったら次に進む。
  4. 図のハの印まで水を溜め、燃焼室内部の様子を見る。もし水が漏れて来たならロとハの間のどこかで水が漏れていることになる。水漏れの箇所を発見できればそこに補修剤を塗る。発見できなければ、水漏れの可能性のありそうな部分全てに塗り、再び「1.」に戻り、水が漏れなくなったら次に進む。
  5. 浴槽一杯に水を溜める。その際、浴室の床に水を溢れさせてはならない。浴槽に漏れが無くとも床から漏れている可能性もあり、どちらか判別できなくなるからである。
  6. 次に燃焼室内部の様子を見る。もし水が漏れて来たなら浴槽のハと縁の間のどこかで水が漏れている。水漏れの箇所を発見できればそこに補修剤を塗る。発見できなければ、水漏れの可能性のありそうな部分全てに塗り、再び「1.」に戻り水漏れが完全に止まるまで同じ事を繰り返す。ハの位置を何箇所か設けて「4.」の回数を増やし、その都度水位を上げていくと、水漏れの箇所をより正確に知ることが可能となる。
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