ロゴ
総アクセス数:

現在の閲覧者数:

不思議の部屋

白蛇の夢

2004.05.20
更新 2014.07.18

白蛇1  右のピンぼけ画像のヨモギの大きさからして、この蛇の大きさが想像できるだろう。体長20cm余り。しかし、身は小さくとも白蛇だ。この格好からして、多分ジムグリかシマヘビの白色変種だと思う。
 世界を見渡すと、ヒンドゥー教には「ナーガ」と呼ばれる蛇の神様がいるし、古代エジプトのファラオの冠にはコブラが象られている。
 日本も昔から蛇を神聖視してきた。神社や正月の飾りの「しめ縄」は、蛇が交尾している姿を象った物だという。蛇が陰と陽の交わりの象徴である交尾を行い、しかもそれを、主食である稲の藁で象るというしめ縄。これが、日本全国に広く普及したのは、それらが聖なるものとして、既に認識されていたからであろう。
 蛇の中でも特に白蛇は、個体数が少なく珍しいのか、神の使いとして珍重されていた。私も肉眼で見たのはこれが初めてだ。
 しかし、この画像の元の写真を、いつどこで撮影したのかを、私は公表することができない。なぜなら、この画像の主がそう望んでいると信じているからだ。
 それでは、私がなぜそう信じてしまったのか、これからその不思議な体験談を書こう。

 私の住む山の集落は自然が豊かだ。そのため、散歩するときにカメラを持って行くと、思わぬ収穫がある。
 この日も天気が良く、たまたま暇があったので、私はカメラをポケットに入れて散歩に出た。
 舗装道路をぶらぶら歩いていくうちに、眺めのいい場所に出たので、私は風景の写真を何枚か撮った。やがて、その足元の道端に、変な物が出ているのを見つけた。最初は私の視界に入っていても、他の草や木の枝と同じように特別意識してはいなかった。ところが、それが風も無いのにほんの少しだけ動いたように見えたのだ。私は視力はあまり良い方ではないが、動く物には敏感である。
白蛇2  よく見ると、それはなんと小さな蛇であった。日の光で温まったアスファルトの上で日向ぼっこをしていたのだ。今カメラを出したところなので、すぐに写せる。私は、ポケットカメラを構えて、逃げられないように、ゆっくりゆっくりと、撮影できる限界まで蛇に近づいた。そして、1枚目のシャッターを切った。2枚目で気づかれる。更に近づいて3枚目を撮ろうとしたとき、「!」と思ったのだろう。蛇は草むらに姿を消した。
 プリントが出来上がってくると、私は改めてこの蛇が白蛇であることを確認した。こんな珍しい写真を、1人で見るのは勿体無い。
 まず、地元の2人ほどに、「白蛇を見た」と語った。どちらも70代の年齢だったが、それぞれ「この年になってまだ白蛇は見たことが無い。」と言った。私は何だか得意な気分になってきた。

 この集落には廃校があり、地元の公民館が主宰する文化祭が近々行われる。写真を引き伸ばし、それに出品したらどうだろうかと思った。私に功名心が無いこともなかったが、白蛇がこの地域に住んでいるということがわかれば、地元の人たちも悪い気はしないだろう。私はこれは名案だと思った。そして、白蛇の話をした1人には、今度写真を見せるとも言った。
 それから数日経った夜、私は珍しく夢を見た。正確に言えば、見た夢を覚えていた。始めは知らない人が何人か出てきたが、そのうち白い大きな蛇が現われた。その蛇はたちまち目を剥いて、私に襲いかかってきた。私は逃げた。そこで目が覚めた。しかし、この夢はすぐに忘れてしまった。
 ところが次の日の夜も、また夢を見た。昨夜と同じような夢で、最後はまた大きな白蛇に追いかけられるところで終わった。目が覚めた私は、これは昨夜も見たような気がすると、昨夜の夢を思い出した。
 次の夜もまた同じような夢を見た。これは何かあるぞと思った。人間必ず夜眠れば夢を見るそうだが、このように3日も同じような夢を見て、しかもそれを覚えているということなど、私の場合滅多に無いことだ。もしかすると、蛇を写真に撮ったことと関係があるのかもしれない。
 次の夜は、公民館で文化祭の打ち合わせがある。私も役員の1人なので、出席するために夕食を早めに済ませた。私が「白蛇の写真を見せる。」と言った人も今夜来るので、写真を持って行こうと昨日までは思っていた。しかし、連日のあの夢で、蛇が地元で写真を公開され、話題にされるのを拒んでいるのだと、私は直感した。そのため、その人には悪かったが、写真は持って行かなかった。幸い彼もそのことは忘れていたらしく、会っても何も言ってこなかった。
 その夜から、私はあの夢は見なくなった。これは、文化祭に白蛇の写真を出品することも、止めたほうが良さそうだと思った。そして、私は出品を取り止めることにした。

 個人の功名心のために白蛇の写真を見世物にするということは、もし白蛇が神の使いでなくとも、あまり気持ち良く思わないだろう。仮に功名心は無くとも、もし写真を写した場所がわかれば、その噂はたちまち広がる。地元の人ならば、この集落の白蛇を捕まえたりなどしないと思う。しかし、他所の人が、面白半分で捕まえに来ないという保障は全く無い。白蛇は、そこまで予測して私にあのような夢を見せたと思うのは、考え過ぎかもしれないが、他に理由が見当たらないので、そう信じることにした。
 蛇が嫌いな人が、蛇を見た恐怖でこのような夢を見ることはあるかもしれない。しかし、私は無毒の蛇に対して恐怖感は全く無い。アナコンダやニシキヘビのような巨大なのは論外だが、子供の頃はシマヘビやアオダイショウを素手で捕まえ、肩に乗せたりしてよく遊んだものだ。

 ちなみに、この文章と画像をインターネットで公開しても、そのような夢は今のところ全く見ていない。

補足

 後日この写真を専門家に送って調べてもらったところ、シマヘビは幼生のときにこのような色になることがあるので、これは正真正銘の白蛇ではないとのこと。しかし、不思議な夢を見せてくれたこの蛇は、私にとってはやっぱり「白蛇」なのである。

不思議の部屋  客間

(C) 2004-2015 Tano Kakashi All Rights Reserved.
inserted by FC2 system