干し柿の作り方
2004.04.16
更新 2015.10.18
干し柿とは
柿を保存するために乾燥させたもののことで、現代風に言えば柿のドライフルーツだ。
また、柿にはタンニンという渋味の成分が含まれており、甘柿はそれが不溶性だが、渋柿は水溶性なのでそれが唾液に溶けるため、渋く感じるのだそうで、それを干し柿にすると、タンニンが不溶性に変化して渋くなくなるのだそうだ。つまり、乾燥させながら渋抜きをするということだ。
私は生の柿をあまり食べないが、干し柿となると話しは別だ。寒風にさらされ、程よいほろ苦さと醗酵して僅かな酸味が出た干し柿を食べるためなら労力をいとわない。アルコールなどで渋を抜くことよりも、こちらの方が手間が掛かるのだが……。
干し柿に適した品種
意外にも、甘柿より渋柿の方が糖度が高いそうなので、どちらかといえば渋柿の方が適しているようだ。
私の今までの経験からすると、気温がぐっと冷え込んでくる12月に入ってから収穫期を迎える品種が、干し柿に最も適している。暖かい時期に干すと、カビが発生し易いからだ。
作り方
- 柿を入手する
どうせ皮をむくので、表面にこのような黒い傷があっても構わない。
自分で収穫する際には、枝から切り離すときなるべくこの図のように切ること。
- 柿を吊るす縄を用意する
一般ではビニールの紐がよく使われているようだが、私はこれがあまり好きではない。なぜなら、柿を干している最中に、こまかく裂けたビニールの繊維が柿の中に食い込んでしまうことがあり、それまで一緒に食べることになるからだ。
そのため、無農薬の稲藁を友人から分けてもらい、それで長さ6尺(約180cm)ほどの縄をなってそれを使っている。普通、縄をなう前には藁を叩くものだが、この場合にはそれを省略しても構わない。
無農薬の稲藁が手に入らない場合のみ、ビニールの紐を使うことにしている。
いずれにせよ縄が解けないように、その両端を団子結びしておく。
- 柿の皮をむく
このときヘタの枝を取らないように注意する。
- 柿のヘタを縄の隙間に差し込む
縄をあらかじめ物干し竿などに掛けておくと、この作業がし易くなる。
6尺の長さの藁縄なら、大型の柿20個くらいまでが吊り下げられる。あまり数が多いと、その重さで縄が切れてしまうので注意。
左の図のように縄の隙間に柿の枝を差し込む。実同士が接触したところの風通しが悪くなり、そこからカビが生えるので、触れ合わないように互い違いに差し込んでいくと、大体上右の画像のようになる。
この画像のように、枝やヘタが付いていなかったりした柿は竹串を刺し、付き抜けたその両端に紐を結び付けてそれを本線に結び付ける。
- 乾燥させる
陽当たりと風通しが良く雨のかからない軒下などに吊るしておけば、あとは自然の力で干し柿になる。
右の画像を見て自分でも笑いそうになったが、これは遊んでいるのではない。日が陰ったら、日当たりの良い場所へすぐに移せるようにしてあるのだ。
- 完成
完成した三月初旬の干し柿。
小型の柿なら正月から食べられるし、大型のものは2月中旬以降が食べ頃。
カビについて
干し柿の表面に白い粉のようなものが噴くことがあるが、これはカビではなく、糖分が結晶したものだ。しかし、本当にカビが生えてしまう場合もある。
我が家の干し柿に発生するのは、主に青カビと白カビだ。青カビが出たものは、カビの生えている部分を除去すれば食べられる。味にも殆んど影響が無い。ところが白カビが発生した干し柿は、全体の味がまずくなり食べられなくなってしまうことが多い。
これらのようなカビの発生を防ぐには、次のようにする。
- なるべく風通しと日当たりが良い、雨の当たらぬ場所に干すこと。
- 気温がなるべく低い時期に干すこと。10月より11月、11月より12月が良い。
そのためには、早生(わせ)ではなく、晩生(おくて)の品種を用いる。
- 大型よりも、小型の品種を用いる。
その方が早く乾燥するので、その分カビの発生を抑えることが出来る。
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