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パソコンの部屋

その4 Linux 冬の陣

2008.10.9
更新 2021.06.05
Tux

 3代目にインストールした Windws Me というOSは、使用するアプリケーションとの不具合から、画面がフリーズしてしまったり、ちゃんと終了できずに強制終了しなければならないといったことが度々あったが、その埋め合わせのように、エラー修復のための機能が充実していた。また、対応しているソフトも豊富にあったので、満足度はかなり大きかった。
 しかし、私が購入した2002年9月末には、Windows XP という新製品が既に発売されており、Me は、2004年12月31日でサポート対象外になるはずであった。しかし Microsoft 社は、それを2006年6月30日まで延長してくれた。それは有り難いことであったが、いずれにせよ時間の問題であることに変わりはない。
 そして、ついにその日がやって来た。その翌日の7月1日に、Microsoft Windws Me のサポートのページを確認すると、見慣れた画面とは打って変わって、サポート期間の終了を告げる、寂しげなものに変わっていた。今後インターネットに接続すれば、このコンピュータが危険にさらされることになる。OSをアップグレードすれば良いかと思うのだが、233MHz というこのCPUでは、Windows XP はまともに動かないはずだ。

 そこで注目したのが、近頃聞いたラジオのニュースだった。セキュリティーなどの点から、官公庁や学校などが、次々に Windows から Linux に乗り換えているというのである。
 そこで私は、早速 Linux について Net で調べてみた。また、古本屋で Linux 関係の雑誌も購入してみた。
 それでわかったことは、その当時の Windows とは違って、OSの中身を公開しているということと、無償で配布しているディストリビューションがあるということだ。OSのソースがわかるということは、自分で好きなようにいじれるということだし(ちゃんと勉強すればの話しだが)、この当時の私の収入は極度に少なかったので(今でも少ないが)、無償ということは非常に有り難いことであった。ディストリビューションというのは、Linux システムを導入し易くするためのもので、その中にはインストーラはもちろん、テキストエディタ、Webブラウザ、メールなどのための数々のソフトが含まれている。
 私が購入した雑誌の付録CD-ROMには、Debian という無償のディストリビューションをインストールするための、*.iso というCDイメージファイルが入っていた。これを空のCDに焼けば、Debian Linux をインストールすることの出来るCDになるのである。
 私は早速それを作って、ハードディスクの Windows とは違う場所に Debian をインストールしてみた。それは成功して、どちらか好きな方を起動させることが出来るようになった。いわゆる、デュアルブートというやつだ。ところが Linux は、雑誌に書いてあるようにして日本語を表示することが出来ない。自分の思い通りにならないと、その原因を探り当てるまで執拗にトライするという、この私の執念深さが再び災いした。
 またもや悪戦苦闘の日々が続いた。なぜ、新しいことをするたびに、私はいつもこううまくいかないのだろう。その答えはもうわかっている。それは、お金を掛けないでしようとするからだ。数千円も掛けてその道の専門的な書籍を揃えて勉強すれば、こんなに悩まなくても済むのである。月々約千円の金を惜しまずに、時間制限付きのダイヤルアップ接続から、常時接続のブロードバンドに切り替えれば、必要な情報やファイルなどを自由にインターネットからダウンロードすることが出来るのである。要するに、世間の人がごく当たり前のようにしているお勤めをせず、当たり前のようにして払っているお金を払わず、敢えてイバラの道を一人で歩いて苦しんでいるだけのことだ。
 それで約一週間悩んだ。インターネットで調べたが、そこには多種多様な情報が飛び交っており、それを一つ一つ試して、自分のコンピュータとカーネルに合ったものを見付けるのに、それだけの時間を要したのだ。カーネルとは、OSの中核を成すもので、CPUやメモリーやキーボードやマウスやスクリーンといったハードウエアと、ソフトウエアとの橋渡しをする役割を果たしている。
 音楽を作ったり画像を編集したりするような時には、何から何までOS任せにしてしまうのが楽で良いが、コンピュータそのものをいじくりたい人間にとっては、この方が面白い場合もある。いろいろと試した結果、ようやく Linux で日本語を表示させることが出来た。私と同じように悩んでいる人のために、一応その方法をここに記載しておこう。使用したマシンのスペックは、右の表を参照されたい。
3代目の主な力量
CPUPentiumⅡ 233MHz
Motherboard ChipsetIntel 82440LX/EX
System Memory288MB(SDRAM)
Hard Disc20GB
光学ドライブCD-RW
CRT MonitorIBM 2236(947232737)
Debian GNU/Linux 3.1 sarge kernel2.6
Debian GNU/Linux 4.0 etch kernel2.6
 いずれでも可能。
 ルートでログインしていない場合には、次のようにして su コマンドでルート権限を取得すること。はエンターキーを押すという意味だ。

$ su

 ここで、パスワードの入力を求められるので、ルートのパスワードを入力する。
 次に、日本語をコンソールで表示させるための、'jfbterm' というパッケージがインストールされているかどうかを調べて、無ければインストールしておく。インターネットに繋がっていれば、次のようなコマンド一つで、ダウンロードとインストールの両方が自動的に行われる。ここが、Debian の凄いところだ。

aptitude install jfbterm

 さて次に、コンピュータを起動する際に不可欠な、menu.lst というファイルを編集する。この設定を誤ると、コンピュータが起動しなくなってしまうので、くれぐれも慎重に行うこと。GUI 環境に慣れている人にとって、この nano というテキストエディタは使い難いと思うので、あらかじめ使い方の練習しておくと良いだろう。他にもっと使い易いエディタがインストールされているのであれば、それを使うに越したことはない。

# nano /boot/grub/menu.lst

すると、冒頭に次のような記述のあるファイルが、テキストエディタによって開かれる。

 ここからは長いので省略するが、このファイルの最後の方の、'End Default Options' というコメントの下に、OSを起動させるための記述があるので、それを探す。但し、OSがインストールされている場所やカーネルのバージョンが違えば、右側の記述が違ってくる。これは、私のコンピュータの場合だ。

 この中の、'kernel' で始まる行の最後に、'vga=0x301' という文字列を加える。それを具体的に示すと下のようになる。但し先ほども述べたように、インストールした条件によってそれぞれ値が違うので、あなたのコンピュータとは赤で示されている部分が違っているはずだ。それをいじってはいけない。

kernel   /boot/vmlinuz-2.6.18-6-686 root=/dev/sda4 ro vga=0x301

 編集が終わったらファイルを保存し、テキストエディタを終了させてシステムを再起動させる。
 再びログインしたら、次のように入力する。赤で示した部分は、自分が使っているコードにする。例えば他に 'EUC-JP' とか、'SHIT_JIS' とか。

$ LANG=ja_JP.UTF-8 jfbterm

 これで日本語が表示されるようになるはずだ。試しに 'date' を実行してみれば、それがすぐにわかる。

$ date
2008年 10月 9日 木曜日 07:58:29 JST
$

 このように日本語で表示されれば成功だ。

 この問題が解決すると、一般的な Web サーバー Apache が入ったCDが付録に付いている本を古本屋で買って来て、それをインストールしようと試みた。しかし、今度はこれがうまくいかなくなり、数日間またそれで悩むこととなった。
 そこで結論に達したのは、時間のずれによる不具合だった。このディストリビューションのCDイメージが入った雑誌が発行されたのは2006年1月、それを補うためにダウンロードしたファイルは、2007年12月現在のもの。しかし、Apache が入っているこの本が発行されたのは、なんと2001年12月なので、それぞれのファイルのバージョンが合わなかったために、不具合を起こしていたようだ。
 しかも、Debian の中にも種類があって、私が使っていた「sarge」は、パッケージのバージョンが古いものが多く、インストールして実行しても、「何々がインストールされていません」という表示が出ることが多かった。『フリーのOSなんて、所詮こんなものか。』と思った私は、途端に興味が薄れてしまい、他のことにしばらく専念することとなった。
 しかし、その「フリーのOS」に対する私の見識がどれだけ浅かったかを、その後痛感させられることになるのである。

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