伝統的な日本の木造建築は、地震や台風などに対する耐久性が比較的強いとされている。しかし、人が住まなくなると、地震の振動や強風による瓦のずれや、木の枝など落下による損傷によって、雨漏りがしても発見されず、そのまま放置されてしまう。それはその家にとって致命的なことになる。
雨水は、風や日光の当たらない屋内にある梁や柱はもちろん、床や根太(ねだ)などの木材を、恒久的に湿らせて腐食させ、早ければ数年で、その家屋の屋根を陥没させ、床を落としてしまう。そのため、すぐ工事に取り掛かれない場合には、ビニールシートを屋根の上から掛けるなどして、水の浸入を阻止する応急処置をしておかなければならない。
西の部屋と井戸小屋への通路の雨漏り
- 旧台所から3~4メートル西に井戸があり、台所から井戸までの間を幅一間の屋根が覆っている。まずは、その屋根が西の板の間の上の屋根と直角に交わっている部分の雨漏りによる損傷の修理と、屋根の修理をすることにした。
- 屋根の損傷している部分の上にビニールシートを敷き、応急処置をしておく。
- シートをめくり、工事開始。波板を剥がし、新しいのを葺く。
- 井戸小屋への通路屋根の梁と掴の腐った部分を除去し、修復する。
- 井戸小屋への通路屋根の梁と柱の腐った部分を応急修理。
- 垂木を補強する。
- 井戸小屋への通路屋根の破損している部分のトタンを全部除去する。
- 野地板を補修する。
- 西の洋間屋根裏から巨大な蟻の巣が出てくる。除去。屋根に覆い被さっている柳の木を一部切り倒す。
- 補修した野地板の上にクロスを貼る。
- クロスの上に波板を葺く。波板を屋根に打ち付ける際には、「波板笠釘」という笠の付いた専用の釘を使う。普通の釘だと、その穴から雨水が入るからだ。また、釘はちゃんと垂木に打ち付ける。野地板だけだと薄くて釘が効かないからだ。
- 屋根直角部分継目のトタンを加工して葺く。
- 最後に屋根が交わっている部分の波板を葺いて、この部分の屋根の補修は完成。
- 西の洋間の雨漏りで落ちた床の修理。
- 修理完了。
風呂場上の木材の補修
- 次は、風呂場の解体と、その上の雨漏りで腐った部分の除去と補修だ。素人の私にとっては、大工事となった。
- 風呂場のドアを外す。
- 風呂場 の解体。
- 風呂場の上の屋根の銅版に鶏卵大の穴があいていて、そこから雨漏りしていることはわかっていたが、今まで風呂場の陰になって見えなかった梁と柱がかなり腐っていることが判明(風呂場跡の図参照)。
- 柱6,7と梁1を撤去する。風呂桶をある程度ばらす。
- 腐った梁をチェンソーで切る。
- 風呂桶を搬出、焼却する。
- 風呂場の腐った梁と柱4本の修理にかかる。まず、車のジャツキに角材を縦にかまして梁を持ち上げ、柱3の根元の腐った部分を切断して除去し、それと同じ長さの新しい角材をそこに入れ、ジャッキを抜いてこの柱の補修完了。
- 梁の腐った部分を切断して除去する。
- 取っておいた柱6を、柱7のあったところに立てる。
- 梁2の腐った部分を除去。
- 知り合いの大工からもらった太い梁を縦半分に切り、梁と柱を作る。
- 柱2を除去、柱1との間の土壁も取り除く。
- 作った梁を加工し、梁2の腐っていない部分に仮に渡す。
- 更に、タル木が浮かないようにしたり、また柱2のあった場所に膀(ほぞ)を切る等の加工を施す。
- 薪小屋の横にあった古い柱を加工し、柱2のあったところに仮に立ててみる。
- 解体した風呂釜は、不燃物ごみ袋に入れ、屋根修理で出たトタンや、不要な鍋、針金等は計量でクリーンセンターに出す。
- 柱新2の仕上げをする。柱1の上部は腐っていて効いていないので、隣に柱新1を立てる。
- 腐っていた垂木2本の補強に、丁度いい角材があったので加工し、差し込む。
- 柱新1と新2の間にコンパネでドアを付け、内側に把手を付ける。
- 補修したタル木を固定する。
- 壁の除去した部分を塞ぐ。
- 梁2の補修。新旧の接点が離れないように金具でとめる。
- 柱1と2の間のドアの上にベニヤ板を貼る。
- 柱新1の下部を金具で固定して完成。
風呂場上の屋根の補修
- 旧風呂場上の屋根、即ち北1階屋根の補修に取り掛かる。
- 破損している銅版を切除する。
- 野地板を張り替える。
- 張り替えた野地板の上にクロスを張る。
- クロスの上にトタンの波板を葺く。
- 2階の壁との接合部分には切り取った銅版を加工して取り付ける。
- ついでにその上の木の板壁も修理して完成。
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