学名:Sargassum horneri、和名では褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科に属するアカモクという海藻。
枝の各所に、長さ5~30 mm ほどの細長い浮きが付いており、これのお陰で海底から海面に向かって立つことができる。海底から離れたナガモは、流れ藻となって海面近くを漂い、さまざまな種類のプランクトンや小魚たちを養っていく海のゆりかごだ。これが人間の食べ物にもなる。
日本各地によって呼び名がいろいろあるようだ。ギバサとか銀葉藻(ギンバソウ)呼ばれている地域があるようだが、新潟県の佐渡島ではナガモと呼ばれている。当地でのギンバソウは和名ホンダワラという別の海藻になる。
ぱっと見はよく似ているが、佐渡のギンバソウの浮きは卵型なのに対して、ナガモのは細長い紡錘形で、葉にはノコギリ状の切れ込みがある。またギンバソウは加熱してもとろみがほとんど出ないが、こちらは加熱して切り刻むと、とろみがたくさん出るので、その違いがよくわかる。
佐渡では、冬の終わりから春先に掛けて何種類かの生の海藻類が出回り、その中にこのナガモもある。他の海草と共に私の大好物だ。
店では普通、生のギンバソウや生ワカメと同じく海から上げたままの状態で売られている。これはまだ生きているので、冷蔵庫内であれば4~5日間保存することが出来る。ところが真水で洗うと、かえって日持ちがしなくなる。冷凍では長期保存が可能だが、これも死んでしまうので解凍後は2~3日で使い切ること。
そのままだと長い物では1メートル以上あるし、野菜の茎にあたる部分は硬いので葉を爪でしごいて取る。
これをサッと湯にくぐらせて加熱すると、このように鮮やかな緑色に変化して、とろみが付く。磯の香りがして、まるで海に来たようだ。
葉物の野菜と同じで、あまり長く加熱するとこの緑の鮮やかさが失われてしまう。
細かく切るとさらにとろみが出るが、モズクとは違いシャキシャキした歯ごたえもある。
モズクのように酢醤油を掛けて生姜か山葵を添えただけで、ご飯のおかずや酒のつまみになる。また、味噌汁や吸い物をはじめ、蕎麦やうどんの具としても大活躍する。
春の到来を予感させる食材の一つだ。